つながるファブリーコミュニティ専門家インタビュー

障害年金をご存知ですか?
~経済的な安心が得られる社会保障制度~

Q 障害年金とは、どんな制度ですか?

A

障害年金は、わかりやすく言うと、20~65歳までの方が仕事を続けることや日常生活に支障が出たときに受けられる社会保障制度です。

けがや病気あるいは事故などに遭い、日常生活を送ることに支障が出たり、就労が制限されている方は、対象となる可能性があります。
障害年金という名称から誤解されることが多いのですが、重い障害を持った人だけが受けられる制度ではありません。

Q 障害年金は、請求すれば必ず受給できますか?

A

障害年金の受給は、病名ではなく、日常生活の支障や就労制限の度合いによって決まります。

けがや病気といっても、重症の方から軽症で普通に働いている方など、さまざまな方がいます。ですから、請求したすべての方が障害年金を受給できるわけではありません。

患者さんご自身で、自分は障害年金をもらえるのかどうかを判断するのは難しい面があるかもしれません。
また、障害年金を受給するためには初診日が証明できることや年金保険料の納付要件※が満たされている、障害の程度が認定基準を満たしているか、という点が重要になります。

※納付要件:
初診日の前日において、満たしているべき社会保険料の要件
参考:
日本年金機構 年金の制度・手続き 
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html

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Q 手続きを進めていく上で気をつけることはどんなことでしょうか?

A

最も重要なことは初診日を確定することで、それに続いて年金保険料の納付要件が問われます。

ここで手続きが止まってしまうことも少なくありません。障害年金でいう初診日とは、確定診断された日ではなく、症状が出た後に初めて医療機関を受診した日です。20歳前に初診日がある場合は、保険料の納付要件は問われません。
そして、請求する前から受給を諦めないことも大切です。ファブリー病のように症状の程度が見えにくく、ご自身で障害年金の受給対象になるかどうかを判断することは難しいケースもあるので、年金事務所や社会保険労務士に相談されることをお勧めします。

また、初めて請求した時点では受給できなかったとしても、症状の変化により後々受給できることもあります。繰り返しになりますが、受給を諦めないことが重要です

Q 患者さん自身が手続きを行う場合と、社会保険労務士に相談する場合の違いを教えてください

A

まずは時間や労力を節約できることです。

複雑な障害年金の請求を患者さんご自身で行うと、かなりの時間と労力がかかります。そして申請が遅れると受給開始時期もその分遅くなる場合があります。

社会保険労務士に依頼するとご自身で行うより早く請求手続きが完了することが多いですが、手数料が必要になるので、それぞれメリットとデメリットがあります。
障害年金を受給できるかもしれないけれども請求手続きのハードルが高いと感じている方や、一度不支給になり再度の請求を躊躇している方も、社会保険労務士にご相談ください。

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Q 障害年金受給に関して、患者さんに伝えたいことはありますか?

A

障害年金という公的な制度とそのメリットを知ってください。

わからないことがあれば、医療ソーシャルワーカーや年金事務所、社会保険労務士に相談してください。障害年金を受給できれば、ご自身の体調に合わせてお仕事の量を減らすことができますし、趣味にお金を使うなどの選択肢が広がって心が安らぎ笑顔が生まれます。

障害年金の受給に際しては、20歳前に初診日がある場合を除いて所得制限はありません。また、障害年金は非課税なので年収にプラスされないため、ご本人が伝えない限り、障害年金の受給が勤務先等に知られることもありません。

Q 実際に、今までにどのような相談がありましたか?

A

毎回相談を受けるたびにそれぞれ状況が違うので、個人個人の状況に合ったサポートが必要になります。

印象に残っているのは、すでに障害厚生年金を受給していた方が国民年金加入中に別の症状を訴えられて、新たに障害年金の請求をすることになったケースです。既存の障害と併合するのか、年金の額を改定するのか、あるいは2つの受給権を取得して1つの年金を選ぶのか、既存の障害厚生年金額とのからみもあり初診日をいつに設定するかによって何通りかの請求方法が考えられました。

それからは、患者さんと一緒になって検討を続けました。主治医の先生やソーシャルワーカーの方と協力しました。何度も検討を重ねた結果、この方にとってベストな受給方法が決まりました。最も有利な請求へと進めることができたのです。

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Q 数ある疾患の中で、なぜ、難病の方の支援をしようと思われたのでしょうか?

A

社会保険労務士になる前は、製薬会社で希少疾病用医薬品※※を担当していました。

その時に、認知度が低い希少疾患ゆえに診断が確定せず、治療薬があるにもかかわらず適切な治療を受けていない患者さんが少なくないことを知り、疾患と診断方法を知ってもらうことが重要と考えて疾患啓発活動を行ってきました。 このような流れから社労士になった今では、難病・希少疾患の方のサポートを中心に疾患啓発活動を障害年金啓発活動に変えて活動しています。
障害年金という制度を知らない、名前は知っているが自分には関係ないと思っていたという方に、ひとりでも多く経済的なサポートができればと思います。

※※希少疾病用医薬品:
医薬品医療機器法第77条の2に基づき、対象患者数が本邦において5万人未満であること、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとして、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定するもの。
参考:
厚生労働省ホームページ 希少疾病用医薬品・希少疾病用医療機器・希少疾病用再生医療等製品の指定制度の概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068484.html

Q 事務所の名前、“あとり”の由来を教えてください

A

私の趣味は野鳥観察です。日本には600種類以上の野鳥がいますが、その中で冬鳥として渡ってくるアトリは、オレンジ、黒、白、茶色をしたスズメぐらいの大きさの綺麗な小鳥で、一番のお気に入りです。

また、ハンドルネームとして、ローマ字で早川の早と鳥で【Hayatori】というのをよく使っていますが、Hayatoriの中に“atori”がいることに気がつきました。
私の好きな野鳥、“アトリ”とともに、これからも患者さんのために頑張っていきたいと思います。

あとり社会保険労務士事務所 https://www.atori-sr-hp.com/

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患者さん、ご家族へのメッセージをお願いします

早川 靖雄さん

早川さん

障害年金の請求は社会保険労務士一人では出来ません。請求にかかわるさまざまな情報を患者さんに気軽に話してもらうこと、それらを社会保険労務士が丁寧に聴いていくことが必要です。そんなやりとりができる、いわば、“障害年金請求チームのパートナー”のような信頼関係を、患者さんと一緒に作り上げることが一番重要だと思います。

患者さんは、病状自体に加え将来のことや経済的な不安も多いと思います。その解決手段のひとつとして社会保障制度の障害年金があります。障害年金を受給することで経済的な不安が和らぎ、心に余裕が生まれて多くの方が笑顔になれることを願っています。少しだけ勇気を出して、私たちに相談してみてください。

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