つながるファブリーコミュニティ専門家インタビュー

ファブリー病の症状と治療

“ファブリー病の症状と治療”について

東京慈恵会医科大学の 大橋 十也 先生にお聞きしました。

お答えいただいたのは…

大橋 十也 先生

東京慈恵会医科大学医学部

看護学科

教授 大橋 十也 先生

Q 何をきっかけに受診される方が多いですか

A

ご家族にファブリー病の方がいて、受診される方が多いです。

ファブリー病では、子どもの頃には手が痛い、汗をかかない、おへその周りや腰に赤い発疹ができるといった症状が、大人になってからは心肥大など心臓の症状や、腎臓、中枢神経系の症状が現れます。このような症状のある患者さんがかかりつけの病院を受診され、ファブリー病を疑われて当院に紹介されることがあります。
当院で実際に多いのは、家族歴から病気を疑って受診される場合です。ファブリー病の診断に至るのは、症状で受診される方よりも家族歴で受診される方のほうが多いですね。

Q 患者さんにはどのような治療をされていますか

A

治療法には酵素補充療法とシャペロン療法、対症療法があります。

以前は現れている症状を緩和する対症療法しかありませんでしたが、今は進行を抑える治療法として酵素補充療法あるいはシャペロン療法(薬理学的シャペロン療法ともいう)を行っています。酵素補充療法は、「α-ガラクトシダーゼA(α-Gal A)」という酵素を2週間に1回点滴で補充する治療法です。シャペロン療法は、飲み薬で酵素の働きをサポートする治療法です。ファブリー病が進行してから治療を始めても効果が得られにくいため、症状が軽いときから始めることが大切です。

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Q 酵素補充療法とシャペロン療法はどのように選んだらいいですか

A

酵素補充療法は全員が受けられますが、シャペロン療法は特定の遺伝子の変化を持つ人のみが受けられます。

まず、主治医から説明を受けるなどしてどのような治療なのかを知りましょう。
シャペロン療法は特定の遺伝子の変化を持つ人しか受けることができません。そのため、シャペロン療法を希望する場合は遺伝子検査が必要となります。日本人の患者さんのうちシャペロン療法で治療できる方は20~30%程度です1)。酵素補充療法は遺伝子の変化の違いにかかわらず、全員受けることができます。
酵素補充療法の場合は、2週に1回通院して点滴を受けることになります。一方、シャペロン療法の場合は、2日に1回ご自宅で飲む薬になります。
症状の進行具合なども考慮して決める必要があります。主治医と相談して決めるのがよいでしょう。

Q 治療の効果はありますか

A

効果を短期間に実感できるような治療ではありません。

酵素補充療法とシャペロン療法は、患者さんご自身が症状の改善などの効果を短期間に実感できるような治療ではありません。継続して治療を行うことによって進行を抑え、心臓や腎臓、脳血管などに命にかかわる重い症状が現れるのを遅らせることを目的としています。実際に治療を継続したことで長期予後が改善したというデータが出ていますので2)3)、当院の患者さんは、そのように将来のリスクが下がることを期待して治療に臨まれています。
しかしこれらの治療は、患者さんに現れている症状をすぐに改善するものではないため、対症療法も、以前と変わらず重要です。

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これから受診を考えている方へメッセージをお願いします

大橋先生

大橋先生

ファブリー病は一度進行してしまうと元に戻すことが難しいため、早期発見が大切です。治療の効果は実感しにくいところがありますが、早めに治療を開始し、継続していくことが、今後のリスクを減らすことにつながります。
受診をためらっている方には、ファブリー病は治療が可能な病気であることを知っていただき、ぜひ積極的に受診していただきたいと思います。ただし、男性の場合は診断が比較的容易ですが、女性の場合は診断の確定が難しい場合があることをご理解いただいた上で受診されることをお勧めいたします。

参考文献

  • 1)Kobayashi M et al. J Hum Genet. 2019; 64(7): 695-699.
  • 2)Beck M et al. Mol Genet Metab Rep. 2015; 3: 21-27.
  • 3)Germain DP et al. J Med Genet. 2015; 52(5): 353-358.

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