どんな病気か知りたい
診断・早期診断の重要性
ファブリー病を診断するためには、症状の確認、家族歴の聴取、酵素活性の測定、遺伝子検査などが行われます。
ファブリー病の男性は明らかな酵素活性の低下が見られますが、女性では酵素活性が正常に近い値を示すことが多いため、性別で診断までの流れが少し異なります。
ファブリー病の男性の場合は、酵素活性により確定診断を行い、遺伝子検査を行わないこともあります。
家族歴の聴取とは?
- なぜ行うのですか?
- ファブリー病は遺伝性の病気のため、家族や親戚の中にファブリー病と診断された方やファブリー病に関連する症状を持つ方がいる場合があります。
これらの情報を確認することで診断の手がかりになることや、ほかの病気と見分けにくい発症間もない患者さんの早期診断につながることがあります1)。
- どのように調べるのですか?
- 患者さんの許可を得て、ご家族や親戚の年齢(亡くなっている場合は死亡時の年齢)、ファブリー病に関連する症状の有無とそれらの症状がいつごろ始まったかを、ご本人から、またはご家族から聞き取ります1)。
酵素活性の測定とは?
- なぜ行うのですか?
- 「α-ガラクトシダーゼA(α-Gal A)」という酵素のはたらき(活性)が低下していると、ファブリー病の可能性があります1)。ファブリー病の男性では著しいα-Gal Aのはたらきの低下がみられるため酵素活性を測定することで確定診断が可能になります。ファブリー病の女性では活性が正常に近い値を示すことが多いため、遺伝子検査を行って、総合的に診断が行われます。
- どのように測定するのですか?
- 血液を採取して、α-Gal Aがはたらいているかどうかを調べます1)。
遺伝子検査とは?
- なぜ行うのですか?
- α-Gal Aという酵素を作る設計図にあたる遺伝子(GLA遺伝子)に変化がある場合、ファブリー病と確定診断されます。酵素活性の測定のみでは確実な診断が難しい場合、遺伝子検査でGLA遺伝子の変化を調べます。
- どのように検査するのですか?
- 血液を採取して、GLA遺伝子にどのような変化が起こっているかを解析します1)。
※この他に、たまっているグロボトリアオシルセラミド(GL-3またはGb3ともいう)の量を測定するため、血液検査または尿検査を行うこともあります。
早期診断の重要性
ファブリー病は治療方法のある遺伝性疾患です。病気の状態は徐々に進行するため、できるだけ早期に診断し、治療を始めることが大切です1)2)。
①進行性の病気です。
ある程度、症状が進行してから治療を開始すると、効果が十分に得られないことがあります。確定診断後、主治医と相談して治療を行いましょう。
②ご家族の病気からわかる場合もあります。
ファブリー病は遺伝性の病気です。家族や親戚が診断されたことをきっかけに、家族内の未診断の方の早期診断につながることもあります。
参考文献
- 1)ファブリー病診断治療ハンドブック編集委員会 編. ファブリー病診断治療ハンドブック改訂第3版:イーエヌメディックス, 2018
- 2)難病情報センターホームページ
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4063
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監修:熊本大学大学院生命科学研究部 小児科学講座
教授 中村 公俊 先生