ファブリー病との付き合い方が知りたい社会保障制度医療費を助成する制度
18歳未満が利用できる医療費助成制度
小児慢性特定疾病医療費助成制度
(2023年10月時点)
「小児慢性特定疾病医療費助成制度」とは?
ファブリー病を含む小児慢性特定疾病※1の患者さんが、安心して治療を続けられるように、その病気の治療に関わる医療費に対して助成(特定の医療費の支給)を受けられる制度です。
申請を行い、交付された医療受給者証を受診のときに提示すると、ファブリー病の治療に関する医療費は、一定の金額(自己負担上限額)以上の負担がかからなくなります。自己負担上限額は、世帯※2の所得などによって決まります。
※1小児慢性特定疾病とは、慢性に経過し、生命を長期に脅かし、症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させ、高額な医療費の負担が続く疾病のことをいいます。対象となるのは厚生労働省が定める16疾患788疾病で、ファブリー病もその一つです。
※2この制度上の「世帯」は、住民票上の世帯とは違い、同じ医療保険に加入している家族のことをいいます。
医療費助成における自己負担上限額(月額)※1
※1月の自己負担上限額は、医療受給者証とともに交付される「自己負担上限管理表」で管理されます。
※2重症:①高額な医療費が長期的に継続する者(医療費総額が5万円/月(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円/月)を超える月が年間6回以上ある場合)、②現行の重症患者基準に適合するもの、のいずれかに該当。
難病と指定されていても、重症度分類等で重症と見なされず、軽症となる場合は医療費助成の支給が認定されず、助成が受けられません。
ただし、軽症の症状を保つため、高額な医療費がかかる場合は特例として対象となり、医療費が助成される場合があります。
制度を利用する際に注意することは?
- 医療受給者証に記載されている病名以外の病気やけがの医療費は助成の対象となりません。
- 助成対象となるのは、都道府県などが指定している指定医療機関を受診、利用した場合のみです。(緊急時を除く)
- 医療受給者証の有効期間は1年間です。ファブリー病の患者さんは、続けて助成を受けるために更新の申請を忘れずに行う必要があります。
制度の利用例
18歳を超えたら制度の切り替えが必要です。
小児慢性特定疾病医療費助成制度は18歳未満の方を対象とした制度です。
ファブリー病は治療を続ける必要があるため、指定難病医療費助成制度に切り替える申請が必要です。
18歳になったら、かかりつけの病院に相談して、延長が可能な20歳までの間に準備をしましょう。
本制度は、18歳未満の児童等が対象です。ただし、18歳到達時点において本事業の対象になっており、かつ、18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳未満の方も対象となります。
参考:小児慢性特定疾病情報センター 医療費助成 概要 対象者
https://www.shouman.jp/assist/outline
令和4年4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたため、18歳以上の方は、本人名義で申請手続きをする必要があります。
患者さん本人による申請が難しく、ご家族等が申請者として申請される場合には、「委任状」を添付する必要があります。
小児慢性特定疾病医療費助成制度の申請の流れ
- 市区町村の役所など、該当の申請窓口に行き、下記の書類をもらう。
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- 全員が必要な書類
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- 申請書
- 診断書(小児慢性特定疾病医療意見書)
- 医療意見書の研究利用についての同意書
- 保護者からの情報提供等に関する同意書
- 住民票(世帯全員)
- 世帯の所得を確認できる書類(市区町村民税、(非)課税証明書など)
- 保険証(写しなど)
- 必要に応じて提出する書類
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- 小児慢性特定疾病重症患者認定申請書
- 医療費について確認できる書類(高額かつ長期、または軽症高額に該当することを確認するために必要な領収書など)
- 収入申告書(市区町村民税が確認できるもの)
- 申請書を記入し、保険証(写しなど)を用意する。
- 難病指定医の医師に、診断書(臨床調査個人票)を記入してもらう。
-
STEP1の、「全員が必要な書類」をそろえ、申請の窓口に提出する。
※該当する方は、「必要に応じて提出する書類」も提出する。
- 医療受給者証が交付される。
- 医療受給者証を持って、指定の医療機関を受診する。
申請の際のポイント
- 窓口でファブリー病と言って伝わらなかった場合には?
- 制度の対象疾患では、「ライソゾーム病」を大項目として、「ファブリー病」はその中の一つの疾患として記載されています。そのため、窓口では、病名を「ファブリー病」ではなく「ライソゾーム病」と伝えるほうが、手続きがスムーズな場合があるかもしれません。
- 医療受給者証が手元に届くまでの期間は?
- 申請から医療受給者証が交付されるまで数か月程度かかります。
- 医療費助成はいつから使えるのか?
- 診断年月日からとなります。
<今まで>
申請をして窓口で受理された日。
<2023年10月1日以降>
小児慢性特定疾病と診断され、且つ、小児慢性特定疾病が原因で、疾病の状態の程度を満たすと総合的に判断された日。
上記のように変更になりました。
医療費助成の申請日から遡りの期間は原則1か月となります。ただし、診断日から1月以内に申請を行わなかったやむを得ない理由があるときは最長3か月となります。以下の「遡りの具体例」を参照してください。
- 医療受給者証交付までの間に立て替えたお金を受け取る方法は?
- 市区町村の窓口*で「払い戻し請求」を行うことで、受け取ることができます。
<払い戻しの対象>
「診断された日」から受給者証が届いた月までの間にかかったファブリー病の治療費のうち、医療受給者証による自己負担上限額を超えた医療費です。
ただし、申請日から診断された日の遡りの期間は原則1か月となります。以下の「遡りの具体例」を参照してください。
*お住いの地域によって申請の窓口や、必要な書類が異なります。マイナンバー確認書類と本人確認書類があると住民票と課税証明書(一部の健康保険の方を除く)が不要になる場合があります。
詳しくは最寄りの保健所や、市区町村の窓口、かかりつけ医療機関の医療ソーシャルワーカーなどに相談してください。 - ○1か月以内の遡り
- ○3か月以内の遡り
- 診断日からひと月以内に申請を行わなかったやむを得ない理由があるとき
例)・医療機関で、臨床調査個人票又は医療意見書の作成に時間を要した
・大規模災害に被災した 等
【医療費助成遡りの具体例】
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監修:公益社団法人 日本医療社会福祉協会
医療ソーシャルワーカー 早坂 由美子 先生